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徒歩
 2時間

相当ひさびさに訪れた広島空港のラウンジは改装して快適になっていた。さてLCCの春秋航空、乗り込むと座席が横6列で異様に狭い。しばらくまえから妙に胸騒ぎがしたり、健太郎が数日前から急に「新しいとうちゃんは嫌だ」などとおかしなことを言い出すし、これはわずかな金をケチったせいで飛行機事故に遭って死ぬフラグではないかとかなりどきどきしていて、最悪の場合、三脈術で死脈が出たら降りてやろうかと考えていた。しかしいくら試しても脈は正常だし、客室乗務員のおねーさんたちを見ていたらこの人たちは毎日この会社で働いているわけで、そう考えるとバカバカしくなって落ち着いてきた。フライト自体はまったく順調で着陸も上手でそこまではよかった、しかしなぜか駐機場が空港の南の端でそこまで延々と移動し、そこからアメリカの飛行場みたく地面に降ろされバスで北の端の第3ターミナルへ運ばれた。そこからまた第2ターミナルのほうへ600m歩いて逆戻りしてようやく駅に到着。ここまで着陸後40分近くかかった。これではいくらなんでも時間がかかりすぎ、広島空港のアクセスも大概だし、いくら安くてもリピートはなし。

夕方近くなってやっと千葉を抜け出し、改装した木造建築へ。焦げくさい天ぷらが小エビ6匹とししとうと海苔で1500円、出汁の効いてないかけが750円。自分がはじめてから訪れると、素人のときとはまた違ったいろんなことに気がつくものだ。観光客が続々くるのだからこれはこれでいいのだろう。

すぐ目白に移動し、30分早歩き。今は駐車場になっている伝説の跡地の前を通り、目的地へは余裕を持って到着。乗り換え案内や地図の閲覧をしまくっているのでスマホの電池がやばくなっていて暇つぶしができない。開店してすぐ入り、申し訳ないがスマホの充電をさせてくれと頼んでみたがさせてくれなかった。まあこちらが非常識なのは承知だが、この場合うちでは困っている人に頼まれれば充電させてあげているからうちのほうが親切な店だ。で、2種類食べられるかと勘違いして2枚もりというのを頼んだが、これは単にお代わりのことらしい(笑)ということはお代わりが800円という計算か??さすがの強気設定だ。印象ももりの量も師匠の店とほぼ同じ。混んでいるときどうなのかはわからないが、そばの扱いは丁寧、この点だけは見習うべき。あともうひとつ、前々から考えていたが、締める温度をもう少しゆる目にしてみようか。かけの出汁は、香りはよかったのでこれもこの点だけは参考に。今日の勉強の成果としては、製品に関しては自分の感覚にしっかり自信をもって、追求していけばよいということがわかった。そばはまじめに作っていればどこに出しても恥ずかしくない。甘い辛いは好みだからいいとして、やはりだしの旨みはしっかり出ていないとダメだと思う。店が繁盛するかしないかはまた別の要素次第である。

トッパンホールに移動して、アレキサンドルタローのゴルトベルク変奏曲。装飾音が多くて、あたかも強弱のつくチェンバロのような演奏。ミスタッチもあるし、フゲッタなど元気な変奏ではノリすぎてグチャグチャ感もあるが、いかにもフランス人によるバッハという感じ、自分はこういうのが好きなので、これはこれでよい。後半29変奏30変奏と盛り上がって、またアリアに戻ってくるとやたらと感動した。やっぱり生演奏のダイナミクスはいい。スピーカーでは再現できない。省略なし、繰り返しをすべてやって70分。アンコールはバロックっぽい曲だが知らん曲、バッハではないのは間違いない。ツイッターで流れている情報だとスカルラッティのK9だそうだ。キャンセル待ちを粘ってよかった、大満足した。

つぎは神保町まで歩いて、予約時間まで10分ぐらい余裕があったはずだったのにここでなぜか迷う。寒さのせいでスマホの充電も突然切れて大慌て。かなり走り回り、公衆電話もなく万事休す、の寸前に偶然見つけることができた。予約を10分遅刻して閉店間際で客は自分ひとりだったが、親方と女将さんは感じよく接してくれた。走り回ってのどが渇いたので小ビンを1本頼み、赤身、中トロ、こはだ、さば、ひらめ、タコ、あなご、あなごお代わり、たまご、かんぴょう巻き。値段も思ったより2割ぐらい安い。シャリの感じがちょっと自分のイメージと違っていたのと、ネタについてどうこういうのは正直ないが、マンツーマンで親方と話ができたのでとても勉強になった。職人気質の親方の心情はふだん自分の考えていることとほとんど共通しているように感じられ、手に取るようにわかった。変な時間に訪れたのでふだん繁盛しているかどうかはわからないが、いい店だと思った。

そしてまた千葉に移動。

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